らららクラシック
戦争がきっかけで生まれた傑作
1914年に勃発した第1次世界大戦で傷を負い、右手を失ったピアニスト、パウル・ウィトゲンシュタイン。彼はピアニストとして活動を続けるために、当時人気作曲家だったラヴェルに左手だけで弾けるピアノ協奏曲を依頼します。このめずらしい依頼はラヴェルの作曲家魂に火をつけ、高い芸術性が求められる作品が完成しました。ところがウィトゲンシュタインは、当初あまりの難しさに到底左手だけでは弾けないと、自分で勝手に編曲を加えて演奏してしまいます。そのことがラヴェルの怒りを買います。その後ウィトゲンシュタインは猛練習しました。ついにラヴェル指揮のもとで行われたパリ初演は大成功を収め、この作品は世界的な評価を得ることになりました。