らららクラシック

ショパンの“英雄ポロネーズ”

ピアノの詩人・ショパンの代表曲「英雄ポロネーズ」。この曲は故郷ポーランドの苦難の時代に作曲されました。故郷の人々を勇気づけようとしたショパンの、ポーランド愛に満ちた「英雄ポロネーズ」の魅力に迫ります。

ポーランド人が涙するポロネーズ

ポロネーズとは、ポーランドの生活に根付いた伝統舞曲です。ポーランド人なら誰でも踊れるというほど、故郷の文化の象徴なのです。祖国に思いを馳せるショパンが異国の地フランスで作曲したこの作品。ポーランドからの亡命者の前でも演奏し、故郷を追われた悲しみをともに癒したといいます。

若者を勇気づけるポーランド人ピアニスト

福島の大学で音楽を教えるポーランド人ピアニスト、ミハウ・ソブコヴィアク教授。ミハウさんの青春時代に、ポーランドは資本主義国へと変わり、国は混乱。苦労したミハウさんを慰めたのは、ショパンの音楽でした。福島の大学を卒業するミハウさんの教え子の多くは、地元、福島県などで保育園や幼稚園の先生になります。これから社会の荒波にもまれる若者たちを送り出す卒業式でプレゼントしたのはこの名曲でした。ミハウ教授は「一人ひとりがみんな英雄」と、卒業生を勇気づけます。

楽譜に込められたポーランドへの思いとは?

音楽全体に響く象徴的な音型、それはまさに「ポーランド!」といっているようだと宮川彬良さんは解釈します。さらにそれだけではなく、ポーランドへの思いは音楽全体の軸となるひとつの響きに込められます。転調による大きな場面転換が行われても、その響きが鳴り続けることは、まさにポーランドの歴史そのもの。いかなる国の支配下にあってもポーランド人の誇り高き故郷への思いは保たれ続けます。「故郷こそ、ショパンが描いた英雄」なのかもしれません。

 

ポーランドの歴史そのものなんですよ
宮川彬良(作曲家)

宮川彬良(作曲家)

 

最近では、連続テレビ小説ひよっこ」の音楽を担当。ミュージカルや演劇の音楽も数多く手がける。
音楽をわかりやすく伝える演奏会を各地で開催している。

 

英雄ポロネーズショパン辻󠄀井伸行(ピアノ)