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ブラームスの交響曲第4番~交響曲に生涯を捧げて~19世紀半ばのヨーロッパの音楽は、リストが交響詩というジャンルを立ち上げたり、ワーグナーが楽劇という新しいオペラの様式を確立しようとしていた時代。ベートーベンが確立した交響曲は既に過去の音楽様式とみなされていました。そんな時代に交響曲の作曲に拘り続けたのがブラームスです。新しいものに飛びつくのではなく、歴史を遡って音楽を学びなおし、交響曲へと融合したブラームスの信念を見つめます。

ブラームスの古典への愛

ブラームス交響曲第4番の特徴の一つは、短いフレーズを繰り返しながら音楽が展開していくこと。もう一つは、古典音楽への深い愛です。例えば第2楽章には、古代ギリシャから伝わったとされるフリギア旋法という音階が使われていたり、第4楽章には、バッハのカンタータを元に作曲していたりするのです。

交響曲へのこだわりと生い立ち

ブラームスは北ドイツのハンブルク出身。父親は貧しい音楽家でした。幼い頃からピアノの才能を発揮し、作曲にも興味を持っていましたが、専門的に勉強する経済的余裕がなく、13歳の頃から酒場でピアノを弾いて家計を支えていたといいます。転機が訪れるのは、20歳の時、当時の大作曲家シューマンとの出会いでした。
シューマンの家で出会う大量の古典の楽譜に魅了されたブラームスはそれらを徹底的に書き写しながら管弦楽曲の作曲法を身につけていきます。最初は酷評されることも多かったですが、交響曲第4番を作曲する頃は、古典音楽を見事に融合した傑作を作曲するまでになりました。交響曲を作曲することで、教会音楽、バッハ、ベートーベンまで、古典音楽のエッセンスを全てまとめ上げたい、それがブラームスの信念だったのです。

最小単位の愛のフレーズで作られた交響曲

ゲストの宮川彬良さんが注目するのは、第1楽章の冒頭の短いフレーズ。このフレーズは3度という美しいハーモニーを形づくる最小単位の音で構成されています。宮川さんは、ブラームスはあえてこの3度でできた短いフレーズを何度も繰り返すことで、人間愛を表現しようとしたのではないかと分析します。