らららクラシック

 

30分バレエまるわかり“ロメオとジュリエット”王子が白鳥に恋をする物語といった「夢のような世界」を描いた19世紀のクラシックバレエ。それに対して、20世紀に登場したドラマティックバレエは、誰もが共感できる普遍的な人間の喜びや悲しみを描いた。シェークスピアの戯曲を元にロシアの作曲家プロコフィエフが手がけたバレエ「ロメオとジュリエット」はドラマティックバレエを確立した歴史的傑作。バレエになじみのない観客にも分かりやすい表現で、大人向けのドラマを描き、バレエの歴史に革命を起こした。バレエ「ロメオとジュリエット」が成し遂げた3つの革新に迫る。

台本の革新 全編を通して物語を描く

台本の執筆にあたって、プロコフィエフクラシックバレエの定番だったあるシーンをカットした。物語とは直接関係ない踊りのシーンだ。例えば、「白鳥の湖」では、王子が白鳥に姿を変えられた姫と出会った後、大勢の白鳥たちによる踊りが続く。プロコフィエフは、全編をストーリーに関わる場面にすることで、すべての踊りが物語を雄弁に語り、感動の深さを倍増させたいと考えた。

音楽の革新 観客を導く映画音楽の手法

プロコフィエフはバレエ「ロメオとジュリエット」の音楽をクラシックバレエにはなかった手法で作曲した。映画音楽に使われる手法だ。彼はロシア映画の最初期、さかんに音楽を手がけた作曲家の一人。映像と音楽で物語をつむぎだす手法を研究した。不協和音や独特のリズムなどのテクニックを使って、初めて見た人でも自然と作品の世界に入ることができ、いつの間にか心理を誘導される音楽を作った。

振付の革新 マイムから演技重視へ

踊りの中で感情豊かな演技をより強く打ち出すことがバレエ「ロメオとジュリエット」の振付の革新だ。それ以前のバレエには物語を進行するにあたってマイムというテクニックがあった。身振り手振りで登場人物の言葉を表現する手法だが、一つ一つが何を意味しているのか約束事を知らないと理解できない。「ロメオとジュリエット」はマイムをやめてしまう。印象はどう変わるのか?新国立劇場バレエ団の協力でロメオとジュリエットがバルコニーで愛を語らう人気の場面をマイムのある場合とない場合で見比べる。

 

YOU(女優・タレント)

YOU(女優・タレント)

バレエファン
バレリーナを夢見て3歳から16歳までバレエを習っていた

 

「ロメオとジュリエット」から
 1.キャピュレット家の舞踏会
 2.キャピュレット家の墓
 3.ジュリエットの部屋のバルコニーセルゲイ・プロコフィエフジェームズ・タグル(指揮)
シュツットガルト国立歌劇場管弦楽団(管弦楽)
ジョン・クランコ(振付)
シュツットガルト・バレエ団(バレエ)